遺言―『カネに勝て!』(南風社)

(ISBN:4931062210)
私が敬愛する作家二人の共著にして、青木雄二氏の遺作となった本。前作『土壇場の経済学』の最新版という感が強いですが、青木の、死を目前にしての神がかった(「神」などというと唯物論者の故人は怒りそうだけど、実に恐るべき)先見の明の数々と、毒舌の中に見える本当の意味での、人間としての優しさは記憶に留めておきたいところ。テーマは借金、リストラ、倒産等々ですが、実際には下手な小説や宗教より遥かに、人間の「生」に迫っているかも知れません。宮崎学氏も相変わらず、その豊富過ぎる人生経験から世知辛い娑婆を生き抜くヒントを記してくれています。
この両氏の著作を読んだことがない方は勿論、『土壇場の経済学』を買われた方にも読んで頂きたい一冊。まあ二人ともアクの強い作風ですので、嫌いな方も多いとは思いますが、そういう方にはあまり無理にはお勧めせず、立ち読みだけで(笑)
このページの趣旨的には直木賞受賞の『邂逅の森』も取り上げる必要があるでしょうが、資金がそこまで回らなかったので、後にということでご勘弁下さい。
しかし、今日のジュンク堂書店池袋店は行きたかった・・・・。宮崎氏が代打で講演に出ると知ったのはおととい。会場のキャパシティからも当然、予約間に合わず。折角実家から出てくる日にあったのに。所謂朝日・岩波文化人と違う立ち位置に居る氏が、斎藤貴男氏とどうジャーナリズム論を闘わせるのか、非常に興味があったんですけれどね。