井川問題、一言物申す

MLB(米国大リーグ)へのポスティングシステム(入札制度)での移籍を希望しているセ・リーグを代表する左腕、阪神・井川投手の交渉難航について、私見を。
ポスティングシステムの利用については、選手側が移籍球団が選べないこと、日本の球団側が認めない場合、選手保有権の問題と真っ向からぶつかること、など、問題点は山ほどあります。正直、私もこの不透明な部分の多い制度は、選手の大リーグ志向の是非は別として、あまり歓迎していません。
しかし、こんな胡散臭い制度が横行する裏には、FA権取得までの年月が長すぎ、野茂投手が大リーグに行くために、国内で任意引退選手になることを余儀なくされた10年前と、制度的にほとんど変わっていないという問題があります。
基本的にこのFA権というのは、完全ウェーバーMLBで、選手の球団選択権を補完するものとして誕生したのですが、上位指名に限り逆指名のある日本では、むしろオーナー側の要望で生まれた側面があります。そのせいか、本家のものより取得が難しく、ともすると盛りを過ぎたベテラン選手の年俸維持と、オーナー側のマネーゲームの道具と化している感さえ否めません。今回の井川投手の件は、一般論で言えば「時期尚早」ということなんでしょうが、他の選手も含め、こういうややこしい話を少なくするためには、新人からFA権獲得までの期間の短縮、その代償として逆指名廃止、ウェーバー制ないし旧来の12球団一斉指名式への移行があっていいんじゃないでしょうか。ともあれ、現行の制度は、選手のニーズにも、プロ野球の金権体質にメスが入った時代の流れにも、いずれにも合致していないはずです。