Coccoはなぜ再び歌ったのか?

ザンサイアン(初回限定盤)(DVD付)

ザンサイアン(初回限定盤)(DVD付)

CDそのものはDVD付き限定版を出先の沖縄で発売日に買って、この一ヶ月聴き込んでいましたが、ここまでレビューはさぼって書かず。どうせ誰も待っていないし、という自虐ネタはさておき、他のはてなユーザも含めた世間の声は、評価二分、違和感のある人も、という感じのようです。
確かに、「Beauty C」の打ち込みや「Swinging night」のタップダンスは異色だし、前者はくるりの影響を考える向きもあるかとは思いますが、私の感想としてはこのあたりは彼女が時折見せるけれん味の範囲内。本質的な部分はより深化して帰ってきた、と思います。やはり活動休止期間がそういうものをもたらしたのでしょう。活動休止直前、「風化風葬」で明確に沖縄を歌うことを宣言した(それ以前からも沖縄を想起させる世界観があったり、彼女の幼年期をモチーフにしたと思しき楽曲はあったが)Coccoは、「ゴミゼロ大作戦」に合わせ制作した「Heaven's hell」であまりに赤裸々に沖縄を歌い上げ、その歌詞は沖縄内部に向けたメッセージであるが故に痛々しいほどでしたが、その傾向は全国的な商業展開を再び行うことになっても基本、継続されていると私は見ています。勿論、間口が広がったこともあり、メッセージ性はある程度オブラートに包まれていますが、彼女が「Heaven's hell」で投げ掛けた沖縄、そして世界への切実な願いは、今作にも継承されているし、故に心を打つのです。
勿論、音的にもクオリティは保障できます。彼女の旧作が好きな人であれば、打ち込みへの極端な抵抗が無い限りお勧めします。抵抗のある方は4曲目を飛ばせばOK(笑)
個人的見解としては、『ブーゲンビリア』と並ぶ彼女の傑作と思います。まあ、基本的にCoccoのアルバムは売れてないやつほど好きですけど。『サングローズ』も気に入ってるし。別に他二枚が嫌いというわけではないですが、特にこの三枚がCoccoCoccoらしさを感じられるいうか、偽らざる姿に近いと思っているので。ちなみに表題のなぜ彼女はもう一度歌ったか、ということについての私の考えは、ここまで読んで頂ければ大体想像はつくかとは思いますが、「風化風葬」以来の一連の流れの中で、歌わずにいられない本能を再認識すると共に、故郷・沖縄とヤマトとの関わり方について、一定の整理がついたからではないか、というところです。