楽天、田尾監督解任へ

http://www.nikkansports.com/ns/baseball/f-bb-tp0-050925-0043.html
速報ではないので詳細は上記リンクに譲るとして、昨年「仙台新球団」誕生を追った身としては、やはり色々と思うところがあります。一度は続投が規定路線になっていただけに、余計話がわかりにくいですし。
日本プロ野球界で近年、一年で辞任という例はあまりなく、仮に最下位になってももう一年巻き返しのチャンスを与えるというのが通例です。そのこと自体の是非は意見の分かれるところでしょうが、最低でも今回の楽天の事例に関しては、私は長期的視点でチームを作るという意味では決してプラスではないと思います。不振の理由を戦力不足に求めるのも、指揮官の力量に求めるのもフロントの勝手ですし、今の楽天は所詮急造チームでしたから、既に指摘され尽くされている感のある戦力のことのみならず、首脳陣の人選についても、フロント側からすれば「準備不足」の一言で片付けられなくはないでしょう。しかし、あえて田尾氏に同情的な視点を向ければ、野球の素人であるフロント、オーナーの一存で現場が落ち着く間もなく首脳陣の入れ替えが行われ、十分な補強もなされたとは言えず、今季の敗因分析と来季の構想まで書かされた挙げ句、自分の力量を発揮する機会もなく解任、というのは、噛ませ犬同然じゃないかとも思えるのです。引き際にも跡を濁すような発言をせず、あくまでチームの将来を憂慮する姿勢を見ると、そういった思いは余計に強くなります。
次期監督候補は野村克也シダックス監督が濃厚とのことですが、単に責任のなすりつけだけで飛ばした首なら、つけ変えてもそう簡単に事態は好転しないでしょう。むしろ自己主張が強く、かつチーム作りに時間を掛ける野村氏には、これまで以上にフロント、オーナーは業を煮やすことになるのではないかとさえ思えます。ちなみにヤクルト時代も就任から優勝までには二年掛かっていますし、現在、プロ野球監督として世間から最も絶賛されている星野仙一氏も、阪神監督就任初年度はBクラス(4位)だったという事実があります。最下位の翌年優勝という事例は、近年でも楽天の実質的な前身球団になる近鉄バファローズが2001年に達成していますが、この時は監督交代はなく、監督が変わっての優勝というのは、やはりそれなりの下地がないと難しいことは歴史が証明しています。
今更人事は覆らないでしょうが、田尾楽天をもう一年見て、その針路を見極めたかったという思いは強くあります。同時に、今後は「準備期間」という言い訳は通用しないのだから、これからの失敗についてはフロントも運命共同体だし、オーナーも当然ファンの批判の矢面に立つ、ということを強調したい次第です。