例えるなら、下町の老舗

桃太郎電鉄 USA

長寿シリーズの13作目にして、初の海外を舞台にした作品。今、建国以来最も揺らぐ彼の国を描くことは難しいとも思ったものの、そこは老舗ボードゲーム、基本的には「楽しいアメリカ」を抽出して、アメリカ嫌いにもしっかりと遊べるものに仕上がっています。北米の地理や、合衆国の基本的な風習をお気軽に叩き込め、勿論ボードゲームとしても前作までのノウハウを踏襲しつつ、かなり絶妙なゲームバランスで仕上がっているので、初心者からハードユーザーまで楽しめる出来。これをファミコン時代から続けて、かつマンネリ化せず進化もして、今回のような変化球も投げる余裕があるというのは凄いことでは。下町の老舗のような、親しみやすくて敷居は決して高くなく、それでいて時代の蓄積がきちんと滲み出ている感じがあります。
ただ、このゲームの最大の難点は、基本的に人間同士の対戦に勝る楽しみはないということ(笑)。年末が今から楽しみではあるけれど、それまではやる時間も大してないとは言え、コンピューター相手に味気ない戦いが続くわけで。留年学生なんてなるもんじゃないわ、本当に。