本島一周

今回の沖縄旅行では、前半が本島一周、後半が久米島渡航、余った時間で那覇市内観光という大雑把なスケジュールしか立てていなかったのですが、その前半部分は今日終えました。沖縄本島は思ったより狭く、やや時間を持て余し気味でしたが、せわしく回るのもこの地には相応しくないし、そう考えると丁度いいぐらいだったのではないでしょうか。
レンタカーの都合で一昨日は那覇市内を回り、昨日朝に那覇を出発。西海岸から本島北部を目指し、最北部の国頭村で一泊、今日は東海岸を南下し、那覇に戻ってきたのですが、ダイビングなどお決まりの観光はほとんどしていないなりにしっかりと印象に残るものになりました。正確に言えば、否応無しに感じさせられるものがあったと言うべきでしょうか。
これは特に中西部で言えることなのですが、我々が普段「沖縄」と聞いてステレオタイプに思い浮かべるものは、案外ないもので、あれは八重山諸島などのイメージではないかと思われます(今回行ったわけではないのですが)。現実の沖縄本島は、米軍基地とリゾート資本に破壊され、古典的な沖縄のイメージを留めるのは、開発の遅れた名護以北ぐらいではないでしょうか。開発の遅れ自体が素晴らしい、というわけではないのですが、この地は今尚、外的圧力に翻弄され、不幸な歴史が続いていると言えるかも知れません。今回、車で一周して、心休まったのは北部と具志頭村(最南部)ぐらいのものでした。東海岸は比較的施設が少ないですが、それでもハンセン、シュワーブなどのキャンプや、目には見えにくいもののゲリラ戦の訓練に使われる北部訓練所などがあります。また、普天間基地の移転候補となっている辺野古地区も北東部にあります。別にここで左翼的なアジテーションをしようということはないですが、改めて、沖縄は未だに占領下にあることを痛感させられました。特に嘉手納基地周辺はそれが露骨に良く分かります。
平和祈念公園、辺戸岬では、そのことも含めた、今尚続く怒りが静かに渦巻いていました。沖縄の人達の多くは、それを普段は表立って出すことなく、笑って暮らしていますが、同じ立場なら、私はそうできる自信は皆無です。たぶん、癇癪を起こして米軍兵士に殺されるのがオチでしょう。ともあれ、現代日本の最もいびつな部分に触れ、少し肉体、頭脳ともに疲れたのは確かです。
しかし、ウチナンチュー(沖縄人)は、車の運転もゆっくりで、これには面食らいました。制限速度通りはあたりまえ、カーブなどはさらに減速をかけ、20km/hぐらいまで落とすこともざらです。さすがに那覇市内や国道の主要部分はややスピードが上がりますが、それでも飛ばすのは大体が観光客(レンタカー会社は多くが車両後部に自社のシールを貼っている)で、それもせいぜい違反切符を切られない程度。高速道もあるので、急ぐならそっち、ときちんと住み分けがなされているのでしょうか。あと、市街地は原付、観光地はバイクが多く、確かに下手に飛ばすとバイクが怖いというのはあるのですがね。