地域密着にこそ活路あり

この一週間程度で、また野球界に新たな動きが続々と出てきました。四国、東北独立リーグ構想、新潟でのプロ野球誘致運動など、今まで娯楽に乏しかった地方の欲求が、仙台新球団構想を皮切りに、一気に噴出している感があります。
田舎者である私は、勿論こういう動きは原則歓迎、出来れば五年後にはプロ野球もMLBのように2リーグ4地区制、16球団ぐらいあると面白いのではないかと妄想するのですが、逆に言えば、もはや「全国民的」という言葉は死語になりつつあるのではないでしょうか。趣味も価値観も多様化した現代において、かつての巨人のような全国民的人気球団、というのは存在し得ないでしょうし、野球そのものもかつてのような全国民的娯楽というわけではなく、サッカーなどと同列の人気競技の一つでしかなくなったと思います。ただ、そういう状況を、経営者やコミッショナーなどのお偉方はどの程度認識しているのか、疑問です。
国内リーグである以上、プロ野球にオリンピックのようなナショナリズム的高揚を求めることは不可能です(阪神タイガースはある種関西ナショナリズムを体現しているとも言えるが)。ただ、それに代わるものとして、「おらがチーム」という要素を用いて盛り上げるということは可能でしょう。Jリーグは完全ではないものの、この方向での可能性を示唆してくれました。そして、この方向性は、多様性を求める現代社会に適応しているとも思います。
日本ハムファイターズは惜しくもプレーオフ第一ステージで敗退しましたが、北海道を熱狂の渦に巻き込みました。恐らく、セ・リーグ優勝の中日より、年間を通しての盛り上がりはこちらの方が強かったでしょう。今後、これをいかにして根付かせていくという課題はありますが、こういう光景が全国各地であれば、どんなに素晴らしいか、と思わずにはいられません。
勿論、地域で愛されるためには、それなりのファンサービスも必要ですし、ただでたらめに金に任せて選手を集めるのではなく、地元の顔になる選手をじっくり育てるという意識もなくてはいけないでしょう。また、地元密着とは言っても、地元住民全員が即ファンになるというものでもなく、逆に他地域のファンへのフォローも必要という難しさはあります。それでも、TV、ラジオによる全国一元中継を中心にした従来の手法が明らかに限界を見せている中、こういった流れが全国各地で湧き上がっているのは自然なことではないでしょうか。願わくば、これらの計画全てが軌道に乗り、プロ野球が新時代に向けて変化してくれればと思います。