ラストゲーム

昨日、西武対ロッテ最終戦に行ってきました。趣旨としては、立場は違えど日本ハムプレーオフ進出を願う三人が、西武ドームの無料開放に乗じてその競合相手であるロッテの試合を見に行く、というもの。まあ、私はただで野球が見られるなら、という部分も結構あったのですが。
しかし、結論からすれば良い意味で裏切られましたよ。20日の日本ハムダイエーが今期のベストゲームと言える内容だったので、今日(21日)のパ・リーグの試合はそれと比べては酷か、と思っていましたが、一点を巡り激しい攻防が続く好ゲーム。西武・潮崎、ロッテ・佐藤幸彦の両選手の引退試合に花を添える、素晴らしい内容でした。ロッテの外国人選手三連発、特に最後の李承菀のホームランは、そうそうお目にかかれない芸術的な一発でしたし、西武打線も最後まで意地を見せる粘り強さ、投手もロッテのエース、清水が尻上がりに調子を上げ、エースに相応しい投球を見せてくれました。日本ハムとロッテのプレーオフ進出争いは、両チームとも勝ったことで残り2試合ある日本ハムの今後(1勝でもすれば日本ハムが進出、連敗ならロッテ。先週末のスト中止試合の代替開催が行われない場合)に委ねられたのですが、どちらにせよ進出するチームが盛り上がることは間違いなさそうで、非常にプレーオフが楽しみです。
この試合、ゲームの内容も良かったのですが、何より素晴らしかったのは最後の引退セレモニーで、ロッテファンからも湧き上がった「潮崎」コール。これを聞いた時、本当に今日ここにいて良かった、という気分になりました。贔屓チームの垣根を越えて野球を愛すればこそ、試合を一度離れたらこういうシーンが生まれるのでしょう。そして、こういうシーンは、野球が単なる一競技、ましてやただの宣伝広告ではなく、文化的側面を持つ国民的娯楽であることを証明するものでもあるのではないでしょうか。
正直なところ、こんな能書きは置いて、ただこの試合をオーナー達に、勿論歓声の聞こえない特等席などではなく、スタンドで観戦して欲しかったと思います。ライブドア堀江社長は、近鉄戦を熱心なファンが最も集まる外野席で見た後、球界参入への意欲がはっきりと増したように見えます。オーナー専用の特等席でちらっと試合を見て帰るオーナーは何人もいますが、自分たちの重要な顧客であるファンと同じ視点で試合を見るオーナーは果たして日本野球界にいるのでしょうか?
これだけいいゲームを見せられて、それでもファンが増えないなら、自分たちのやっていることが間違っていたのでは、という疑問も湧くでしょうし、逆に今一つ盛り上がらない試合であったなら、それを改善する手を打とうという気にもなるはずです。球場施設そのものの問題点だって見えてくるでしょう。
本当はこんなことも考えたくないくらいいい試合だったんです。この幸福な余韻に浸れないことが今の悲しさです。しかし、そんな状況下だからこそ1試合の重みを感じられるのも、今の幸せでしょう。無事のプレーオフ日本シリーズ開催、そして来期も素晴らしい、出来ればもっと面白いプロ野球があることを、ただ祈るのみです。